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YouTubeは「大食い」を禁止したのか|モッパン収益停止騒動を公式ガイドラインで読み解く

YouTubeは「大食い」を禁止したのか|モッパン収益停止騒動を公式ガイドラインで読み解く

「たくさん食べる」ことは、いつからYouTubeで稼げない行為になったのでしょうか。

お疲れ様です、株式会社トレンドマップです。9月中旬から、「YouTubeが大食い動画を規制した」「モッパン系ユーチューバーが次々と収益停止」という話題が、韓国から日本のXやテレビにまで広がっています。韓国を代表する大食いYouTuberのツヤン(登録者1,350万人)が、9月21日公開の動画で「これからは適度に食べるYouTuberになります」と口にしたことも、騒ぎに拍車をかけました。

ただ、報道を一つずつたどり、YouTubeの公式ガイドラインと突き合わせてみると、見えてくる構図は見出しの印象とかなり違います。結論から言うと、YouTubeは「大食い」そのものを禁止していません。問題になっているのは「摂食障害」の文脈と、視聴者がまねしかねない食べ方・減らし方の描写です。そしてこの線引きは2026年に突然できたものではなく、2023年から公式に書かれていました。YouTube側も9月23日、「最近更新したり強化したりした基準ではない」と説明しています。

食品・飲食店・健康・美容など、「食べる」「痩せる」を扱う企業の動画にも関わる話なので、今回はこの騒動を公式情報ベースで整理します。

この記事の要点
  • 処分が確認されたのは、ダイエット系「ミソ」(動画667本中339本を削除)と「サルペジョ」(収益化停止)。大型の大食いチャンネルへの直接の処分は確認されていない
  • Googleコリアは9月23日、「基準は最近更新も強化もしておらず、これまで一貫して適用してきた」と説明した
  • 公式ガイドラインには、モッパンで調理済みの料理を食べるシーンは「広告収入を得られる」と例示されている
  • 広告収入を得られないのは、摂食障害への明示的な言及に、過食・食べ物のため込み・下剤・体重減少の推移などが伴う動画
  • 基準の起点は2023年4月のコミュニティガイドライン改定と、同年9月の広告ガイドライン改定。2026年1月の改定でも摂食障害は対象外のまま据え置かれた
  • 日本では10月5日時点で収益停止の報道はない。大食い系YouTuberが説明欄に注意書きを加えるなど、自主的な対応が出始めている
  • 日本の企業がまず点検すべきは、大食い企画よりもダイエット・健康・美容系の動画と、そのタイトル・サムネイル
目次

    何が起きたのか

    現地報道で具体的に確認できる事例は、主に2つです。

    ダイエット系「ミソ」=4年分の動画の半分を削除

    登録者約10万人のダイエット系YouTuber「ミソ」は、9月15日に「4年分の動画を削除せざるを得なかった理由」という動画を公開しました。3月中旬にYouTubeからガイドライン違反の通知メールを受け取り、3月末には収益化の一時停止を告げられたと明かしています。4月いっぱい異議申し立てを続けたものの判定は覆らず、全667本のうち半数を超える339本を自ら削除しました。韓国の報道によれば、過去の動画には体重や食事量の具体的な数字、減量の手順などが含まれていたと本人が振り返っています。

    「サルペジョ」=収益化が止まり、投稿も停止

    登録者約44万人の「サルペジョ」は、9月18日にチャンネルのコミュニティ投稿で、収益化が止まっていると報告しました。どの動画が対象になるのか分からないため、新しい動画の投稿も止めているとのことです。

    その後、9月24日に公開した動画「一日で職を失ったモッパンユーチューバー」で、経緯をもう少し詳しく語っています。4〜5年前に投稿したダイエットや過食の動画が、数か月前から警告なしに1本ずつ削除され、最後に収益化停止の通知が届いたそうです。

    大型の大食いチャンネルは、処分が確認されていない

    一方で、ツヤンや登録者172万人のヒバプといった大食い専門の大型チャンネルが、直接の処分を受けたかどうかは確認されていません。中央日報は「現在制裁を受けているのは主にダイエット経験や極端な減量過程を扱ったチャンネル」と報じています。当事者のサルペジョも9月24日の動画で「収益が止まったのは自分なのに、なぜツヤンさんやヒバプさんまで引き合いに出すのか分からない」と話し、基準はたくさん食べることそのものより、摂食障害を誘発したり、まねさせたりしうるかどうかだと説明しています。ツヤンの「適度に食べます」という発言も、動画の中でガイドラインや収益化に触れたわけではありません。発言のあともトッポッキやスンデ、天ぷら、ドーナツなどを次々と味わっていて、あくまで韓国メディアが規制の流れに重ねて報じた、というのが実際のところです。

    YouTube側は「最近更新も強化もしていない」と説明

    騒ぎが広がっていた9月23日、韓国の通信社ニュース1の取材に対し、Googleコリアは「この基準は最近更新・強化したものではない。これまで一貫して同じように適用してきた」と答えています。ニュース1は、指摘を受けた一部の人気YouTuberがその経緯を動画にして公開したことで、世間の関心が一気に集まったとみています。

    日本でも報道が広がったが、収益停止の報告はまだない

    日本でも9月下旬から、テレビ朝日(ANN)や東洋経済オンラインなどが相次いでこの話題を取り上げました。テレビ朝日の取材に応じた、大食い系YouTuberとして10年以上活動するどらこさんは、「純粋に大食いだけをやっている方々が消されている例がほとんどない」として、それほど心配はしていないと話しています。そのうえで、チャンネルの説明欄に「当チャンネルは、大食いや無茶な過食を推奨しません」という注意書きを加えました。10月5日時点で、日本のクリエイターが収益停止を受けたという報道は確認できていません。

    つまり、日本で広まった「大食い動画が一斉にBAN」という印象と、実際に処分が確認された事例との間には、かなりの距離があります。

    2023年の規定が、2026年に届くまで

    では、YouTubeのルールはいつ、どう変わってきたのか。一次情報を時系列で並べます。

    2023年4月:まねされうる行動を、削除の対象に加えた

    2023年4月18日、YouTubeは公式ブログで摂食障害に関するコミュニティガイドラインの改定を発表しました。それまでも摂食障害を美化・助長する動画は削除対象でしたが、ここに「リスクのある視聴者がまねをしかねない行動」を扱う動画が加わりました。例として挙げられたのは、食後の嘔吐や極端なカロリー制限です。回復の体験談などは削除せず、18歳未満やログインしていない視聴者には見せない年齢制限をかける、という運用も同時に示されました。摂食障害に関する動画の下に相談窓口の情報パネルを出す国には、日本と韓国も含まれています。

    2023年9月:広告の基準を、コミュニティガイドラインにそろえた

    同じ年の9月、広告掲載に関するガイドラインが改定されました。報道で見落とされがちですが、この改定の主旨はむしろ「緩和」でした。中絶や性的虐待など物議を醸すテーマについて、生々しくない語り方であれば広告収入を得られるように基準を広げたのです。その中で摂食障害だけは逆方向で、コミュニティガイドラインにそろえて厳しくされました。YouTubeの説明では、摂食障害に焦点を当て、過食や食べ物を隠す・ため込む方法、下剤の乱用といった「きっかけ」を共有する動画は広告収入を得られないとされています。教育・ドキュメンタリーの動画や、こうした行動を勧めない体験者の語りは対象外です。

    2026年1月:ほかのテーマは緩和、摂食障害は据え置き

    2026年1月にも、物議を醸すテーマの動画について、生々しくない演出であれば広告収入の対象にする改定が入りました。ここでも「児童虐待と摂食障害に焦点を当てたコンテンツは、引き続き全面的な収益化の対象外」と明記されています。一方、直近3か月の更新履歴(2026年8月〜10月)に並んでいるのは、暴力表現や薬物、議会審議など公共の利益に関わるコンテンツの扱いといった項目で、摂食障害の新しい規定は見当たりません。韓国の一部報道は「今年9月に広告ポリシーが改定された」と伝えていますが、公式の更新履歴からは確認できませんでした。

    2023年の規定が2026年に届くまで:摂食障害をめぐるYouTubeの規定の流れ
    2023年の規定が2026年に届くまで:摂食障害をめぐるYouTubeの規定の流れ

    公式ガイドラインに書かれている「本当の線引き」

    現在の日本語版「広告掲載に適したコンテンツのガイドライン」を読むと、線引きはかなり具体的です。YouTubeは広告の扱いを「広告収入を得られる」「広告収入が制限される」「広告収入を得られない」の3段階で示しています。

    広告収入を得られないのは「摂食障害への明示的な言及+まねされうる要素」

    「広告収入を得られない」とされているのは、摂食障害への明示的な言及に、次のような要素が伴う場合です。

    • 最低のBMIや体重、過度にやせ細った体を見せること
    • 体重や身体に基づく辱めやいじめ
    • 過食行為、食べ物を隠したりため込んだりすることへの言及
    • カロリー不足になるまで運動すること、嘔吐や下剤の乱用
    • 体重減少の推移の確認、これらの行動を隠すことへの言及

    逆に、摂食障害に触れていても、まねされる要素を含まない一般的な言及なら「広告収入を得られる」側に入ります。過食症を克服するまでの過程のような回復の体験談は「広告収入が制限される」扱いです。

    モッパンの食事シーンは「広告収入を得られる」と例示されている

    見落とせないのが、同じガイドラインの「衝撃的なコンテンツ」の項目です。ここには、「モクバン」やASMRの一環として調理済みの食品を食べるシーンは「広告収入を得られる」と、例示付きで書かれています。制限がかかるのは、調理されていない動物の部位を映したり、野蛮・誇張された食べ方をしたりするセンセーショナルなものです。

    広告収入の3段階:摂食障害とモッパンはどこに入るか
    広告収入の3段階:摂食障害とモッパンはどこに入るか

    ここまで読むと、「大食い=アウト」ではないことがはっきりします。基準は「どれだけ食べたか」ではなく、「摂食障害の文脈で、視聴者がまねしかねない食べ方・減らし方を見せているか」です。処分された事例がダイエット系に偏っているのも、この線引きと合っています。

    削除と収益停止は、別々の基準で決まる

    コミュニティガイドラインに違反すると、動画の削除や違反警告の対象になります。一方、広告掲載のガイドラインだけに当たる場合は、動画は残ったまま広告収入が制限されます。2つは別の基準で判定されるため、「動画は消えていないのに収益だけ止まる」ことも、その逆も起こりえます。

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    この騒動の“本当の意味”を読む

    ルールが2023年からあったのなら、なぜ今になって処分が表面化したのか。ここからは当社の読みです。

    処分は「一斉」に来たのではなく、数か月かけて順に届いていた

    ミソの最初の通知は2026年3月で、サルペジョも「数か月前から1本ずつ削除された」と話しています。ソウル経済新聞は、新しい動画だけでなく過去の動画にもさかのぼって審査が行われていると報じました。一方でGoogleコリアは「最近強化したわけではない」と説明しています。両方を合わせると、9月に何かが一斉に切り替わったというより、過去の動画への個別の審査が数か月かけて当事者に届き、その経緯を本人たちが9月に相次いで動画で公表したことで、一斉に起きたように見えた、と読むのが無理のない説明です。どの動画がどの順番で審査されるのかをYouTubeは説明していないので、ここは推測の域を出ません。ただ、「公表日が古い=もう関係ない」ではないという教訓は、どのジャンルにも当てはまります。

    判定の単位は「動画本編」だけではない

    広告のガイドラインは、タイトルとサムネイルについても項目を立てています。本編で摂食障害に触れていなくても、「1日◯kcal生活」「◯日でマイナス◯kg」のような言葉をサムネイルに大きく入れていれば、評価の材料になりえます。サルペジョが「どの動画が対象か分からない」と投稿を止めたのは、この判定の見えにくさを象徴しています。

    摂食障害は、緩和の流れの中で2回とも例外にされた

    2023年9月と2026年1月の改定は、どちらも、センシティブな話題全体としては収益化の門を広げる改定でした。その中で摂食障害だけが、2回とも例外として据え置かれています。YouTubeが広告主に対して「ここだけは譲らない」と示している領域だと読むのが自然で、今後この線が緩む可能性は低いと当社は見ています。

    日本のマーケター・クリエイターが今すぐ考えること

    10月5日時点で、日本のクリエイターが実際に収益停止を受けたという報道はありません。ただ、ガイドラインは韓国向けのローカルルールではなく、日本語版にも同じ内容がそのまま載っています。YouTubeを運用している企業が見直しておきたい点を3つ挙げます。

    ① 「大食い」より「ダイエット・健康・美容」の動画を点検する

    今回の線引きで注意が必要なのは、実は大食い企画よりも、減量の記録、ビフォーアフター、食事制限のメニュー紹介、体重やカロリーの数字を前面に出した企画です。健康食品、フィットネス、パーソナルジム、美容クリニック、食品メーカーのダイエット関連商品などは、商品を訴求する流れで「体重減少の推移」や「極端な制限」を見せていないか確認しておくと安全です。

    ② 過去動画とタイトル・サムネイルを棚卸しする

    ミソの例が示すとおり、審査は過去にさかのぼり、異議申し立てが通るとは限りません。問題になりそうな言い回しは、新しく作る動画だけでなく、既存の動画のタイトル・サムネイル・説明文からも外しておくのが現実的です。YouTube自身も、摂食障害に触れるコンテンツでは予防や相談先の情報を動画と説明欄の両方に入れることを勧めています。大食い系YouTuberのどらこさんが説明欄に「大食いや無茶な過食を推奨しません」と書き加えたように、企業のチャンネルでも、企画の意図を説明欄で明示しておくと視聴者の誤解を招きにくくなります。

    ③ タイアップ先のクリエイター選びに、この観点を加える

    企業がインフルエンサーに案件を出す場合、相手のチャンネルがこの領域に入る動画を多く抱えていると、動画単位の広告制限やチャンネル単位の収益化停止のリスクを背負います。YouTubeの収益化ポリシーは、違反によって一部またはすべてのアカウントで収益化が止まりうると定めています。いったんパートナープログラムへの参加が停止されると、再審査を請求できるのは停止から21日以内、再申し込みができるのは停止から90日後で、再申し込みの審査にはさらに約1か月かかります。登録者数や再生数だけでなく、「どんな見せ方で数字を取っているか」まで見ておくと、案件が途中で止まる事態を避けやすくなります。

    よくある質問

    YouTubeで大食い(モッパン)動画は禁止されたのですか?
    禁止されていません。YouTubeの「広告掲載に適したコンテンツのガイドライン」には、モクバンやASMRの一環として調理済みの食品を食べるシーンは広告収入を得られると例示されています。広告収入を得られないのは、摂食障害への明示的な言及に、過食や食べ物のため込み、下剤の乱用、体重減少の推移の確認などが伴う動画です。
    今回の収益停止は、2026年9月の新しいルールによるものですか?
    公式の更新履歴からは確認できません。摂食障害に関する基準は、2023年4月のコミュニティガイドライン改定と、2023年9月の広告ガイドライン改定が起点です。2026年8月〜10月の更新履歴に並んでいるのは暴力表現や薬物などの項目で、摂食障害の新しい規定は載っていません。Googleコリアも9月23日、「最近更新したり強化したりした基準ではない」と説明しています。
    日本のYouTuberも収益停止を受けていますか?
    2026年10月5日時点で、日本のクリエイターが実際に収益停止を受けたという報道は確認できていません。日本の大食い系YouTuberの中には、説明欄に注意書きを加えるなどの対応を取った人もいます。ただしガイドラインは日本語版にも同じ内容が載っており、韓国だけに適用されるルールではありません。
    企業の動画で気をつけるべきなのは、どんな内容ですか?
    大食い企画よりも、減量の記録、ビフォーアフター、食事制限のメニュー紹介、体重やカロリーの数字を前面に出した企画です。健康食品・フィットネス・美容などの商材で、体重減少の推移や極端な制限を見せていないかを、タイトルやサムネイルも含めて確認してください。
    動画が削除されるのと、収益だけが止まるのは何が違うのですか?
    判定の基準が違います。コミュニティガイドラインに違反すると、動画の削除や違反警告の対象になります。広告掲載のガイドラインだけに当たる場合は、動画は残ったまま広告収入が制限されます。

    まとめ

    この記事のポイント

    • YouTubeは大食いそのものを禁止していない。モッパンの食事シーンは「広告収入を得られる」と例示されている
    • 広告収入を得られないのは、摂食障害の文脈で、まねされうる食べ方・減らし方を見せる動画
    • 基準は2023年から公式に書かれており、YouTube側も「最近更新・強化したものではない」と説明している
    • 日本の企業は、ダイエット・健康・美容系の動画と、そのタイトル・サムネイルから点検する

    今回の騒動は、「YouTubeが大食いを禁止した」話ではありません。摂食障害の文脈で、視聴者がまねしかねない食べ方・減らし方を見せる動画の広告収入を止めるという、2023年から公式に書かれていた基準による個別の審査が、2026年になって当事者の発信をきっかけに表に出た話です。

    SNSで広がる見出しは、どうしても「一斉BAN」「規制強化」のように強い言葉になりがちです。動画の方針を大きく変える前に、一度公式のガイドラインを開いて、自社の動画がどの行に当たるのかを確かめてみてください。怖がるべきは「たくさん食べること」ではなく、自社の動画が、知らないうちに「まねされうる食べ方・減らし方」を見せていないかです。

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    トレンドマップ
    執筆者
    トレンドマップ マーケティング部

    株式会社トレンドマップのマーケティング部門。自社開発のSNS動画分析ツール『BuzzClipper』を運営し、中小企業のSNS集客を支援している。最新のSNSアルゴリズムやAI検索(AIO)トレンドを継続的に調査・実践しながら、再現性のある集客手法を発信している。

    参考資料・引用元

    クリエイターの登録者数・発言・日付は2026年9〜10月の各報道に基づきます。ガイドラインと更新履歴の記述は2026年10月5日に公式ヘルプを確認した内容です。英語・韓国語の資料の日本語訳、および本文中の評価・日本向けの読み替えは当社によるものです。

    © 2026 株式会社トレンドマップ

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